2024年から導入される新NISAの「成長投資枠」には、どのような特徴があり、どのように活用できるか、そしてこれを「つみたて投資枠」と組み合わせることでどのようなメリットがあるのかを解説します。
ついに始まった新NISA!
話題だけど、実際どんな制度なのかあまり理解してない…
この記事でしっかり勉強しよう!
まず、新NISA制度は2024年からスタートし、これに伴い大きな変更があります。最も注目すべき変更点は以下の4つです。
1. 非課税保有期間の無期限化と口座開設期間の恒久化
現行制度ではつみたてNISAが最長20年、一般NISAが最長5年の非課税保有期間でしたが、新制度では非課税保有期間が無期限になり、有価証券を売却しない限り永続的に非課税状態が続きます。手続きの煩わしさがなくなり、より長期的な視点で資産形成が可能になります。
口座開設可能期間も新制度では廃止され、制度が永続化されます。
2. 成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能:一般NISAとつみたてNISAが一本化
現行制度では一般NISAとつみたてNISAが別々に管理され、1年間にどちらか一つしか選択できませんでしたが、新制度では「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つを併用して利用できます。
3. 年間投資上限額の引き上げ
現行制度では一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円だった年間投資上限額が、新制度では成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円となり、これらを組み合わせることで年間合計投資上限額は360万円に拡大します。特に成長投資枠の拡大により、これまで手の届かなかった高額な株式や個別株への投資が容易になります。
4. 生涯投資枠の拡大:投資枠の再利用が可能
現行制度では年間投資上限額と非課税保有期間に基づいて生涯の非課税上限が設定されていましたが、新制度では1,800万円の生涯投資枠が導入されます。
成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円で、この限度額は買付け残高(簿価)で管理されます。商品を売却した場合、翌年に再利用できる仕組みとなり、これにより生涯投資枠を効果的に活用できます。ただし、売却した分の投資枠が復活するのは翌年であり、短期的な取引戦略は制限されます。
新NISAがとってもお得な制度だってことはわかった!
成長投資枠とつみたて投資枠は具体的に何がどう違うんだろう
「成長投資枠」とは
成長投資枠とつみたて投資枠の主な違いは、投資可能な商品の範囲にあります。成長投資枠は、既存の一般NISAの役割を引き継ぎ、上場株式(日本株・外国株)、ETF(上場投資信託)、投資信託などに広範な投資が可能です。
ただし、これにはいくつかの制限があります。具体的には、上場廃止の可能性がある監理銘柄やすでに上場廃止が確定している整理銘柄、信託期間が20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、および高レバレッジ取引を伴う投資信託などが除外されます。成長投資枠で購入可能な投資信託については、2023年12月まで毎月1回、投信協会のウェブサイトで順次追加・公表される予定です。
一方で、つみたて投資枠は、現行のつみたてNISAと同様に、つみたてNISA対象銘柄(長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託)に投資できます。新制度の生涯投資枠は1,800万円で、その内訳は1,200万円が成長投資枠となりますが、つみたて投資枠で購入できる投資信託は成長投資枠で購入可能なものと同じです。そのため、1,800万円全体をつみたてNISA対象銘柄に投資することも可能です。
ただし、成長投資枠はつみたて投資枠よりも広範な商品に投資できるため、上場株式やETFなどにもアクセスできます。投資戦略に応じて、両枠を上手に活用することが求められます。
つみたて投資枠とは
つみたて投資枠は、前述の通り、現行のつみたてNISA対象銘柄に投資が可能です。これから資産形成を始める場合、ますます注目されるのがこのつみたて投資枠です。なぜなら、資産の基盤を築く上で、まず優先すべきであるからです。
新制度の生涯投資枠が1,800万円である中、最初に考慮すべきはつみたて投資枠です。つみたて投資をコア資産とし、これを通じて資産の土台を確実に築くことが肝要です。
このつみたて投資枠に1,800万円を全て充てることも可能です。たとえば、毎月5万円のつみたて投資を続けると、30年で1,800万円の生涯投資枠を埋めることができます。同様に、毎月10万円のつみたて投資を続けると、15年で同じく1,800万円の生涯投資枠を達成できます。
余裕がある場合、つみたて投資だけでなく、同時に成長投資枠も活用することを考慮することもおすすめです。これにより、リスク分散と効率的な資産形成が可能です。
まとめ
2024年から始まる新NISAは、非課税保有期間の無期限化や成長投資枠とつみたて投資枠の併用、年間投資上限額の引き上げ、そして生涯投資枠の拡大などの変更により、利用の柔軟性が向上します。これに基づいて、より長期的な視点で資産形成を考え、つみたて投資枠600万円と成長投資枠1,200万円をどのような商品にどの期間で投資するか、早めに計画を立てておくことが重要です。
まず、つみたて投資枠に関しては、長期の資産形成を考えると、安定したリタイアメント商品や分散投資が適しています。たとえば、株式型投資信託や優良な債券型投資信託、インデックスファンドなどが挙げられます。600万円をどのくらいの期間かけて投資するかは、自身のリスク許容度やライフプランに合わせて考える必要がありますが、数年から十数年かけて少しずつ投資を行うことが一般的です。
一方で、成長投資枠に関しては、リスクを取りながらも長期的な資産形成を考えることができます。上場株式やグローバルな市場への投資、新興企業への投資などが成長を期待できる選択肢です。1,200万円をどのように投資するかも、リスク許容度や投資目的により異なりますが、10年以上の期間を見据えて長期ホールドを考慮することが一般的です。
投資は個人の状況や目標によって異なるため、専門家やファイナンシャルプランナーと相談しながら、着実に計画を進めていくことがおすすめです。